角秀一ダイアリー

錦秋を待て

初冠雪となった旭岳を含む北海道大雪山系は今、紅葉が見ごろを迎えました。
紅葉前線がいよいよ日本列島を南下し始めたのです。
日本経済新聞社が行った専門家アンケート結果では、紅葉ナンバーワンは大雪山系。2位は栃木県日光。3位は青森県奥入瀬系流。
6位に大山がランクインしていますよ。
山陰の山々はまだまだ色づいてはいませんが、あとひと月もすると鮮やかな光景が広がっていくことでしょう。自然は冬へ向かって暖色の衣に袖を通すのです。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその33≫
【マスカレード・ホテル/東野圭吾/集英社】☆☆☆☆
東野圭吾はハズレない。デビュー25周年を記念して3作品連続発表のラストを飾るのがこの本です。都内で起きた連続殺人事件。次の犯行現場は、超一流ホテル・コルテシア東京らしい。事件を防ぐためホテルマンとなって潜入した警察官と、彼にホテルマン教育を施すフロントレディ。二人は個性的な宿泊客達に翻弄されながら凶悪犯人にたどり着こうと必死の捜査を繰り広げます。映画になるのか!ドラマにするのか!それ用に構成されたような展開にニヤニヤしつつ、配役に頭を巡らせています。

声優

今、声優志望の若者が増えているそうです。
アニメブームは観る側から演じる側へ共感を呼び、声優はあこがれの存在となりました。でも今始まったことではなく、昔から声優は大人気でしたよ。星飛雄馬役の古谷徹さん、古代進の富山敬さん、北斗の拳の神谷明さんなど当時のヒーローでした。今、僕が好きな声優は、若本規夫さんです。プリズンブレイクのティーバック役での演技力に驚いたのがきっかけです。有名になるには長い時間がかかりました。それだけ深い味を出せるようになられたのでしょう。人志松本のすべらない話のナレーションも彼の声です。
映画吹き替えも一人何役もこなせる凄技の声優達。同じ声を職業としている僕も見習うことがいっぱいです。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその32≫
【困ってるひと/大野更紗/ポプラ社】☆☆☆☆☆
今年4月初版の本が今や8版のスピードで超増刷となっている本です。
現在26歳の女子大学院生の自伝エッセイ。ビルマ難民を救う運動で訪れたビルマで体調を崩し、帰国後多くの病院を回るも原因不明。2009年、遂には体の自由が効かなくなり、やっと辿り着いた専門病院で難病と言い渡され、9か月間の入院生活が始まります。それは壮絶な闘病生活でした。自らを難病女子と語り、病気の重さとは真逆の天真爛漫な語りで物語は構成されています。普通闘病記は読んでいて重くなるのですが、この本は笑いがこみあげてくるほどの軽妙さなのです。むしろ読者が元気をもらいます。さらにこのエッセイは現在の社会保障制度にも深く切り込んでいくのです。凄い本というより、凄い著者ですよ。

「V」

「VICTORY」
なでしこジャパンや高校野球を観ながら勝利の歓喜に酔う今年の夏です。個人的にはスワローズが首位を走ることに久しぶりの狂気乱舞な僕です。メイク・ミルミルが成就しますように。

「VITAMIN」
肉を食べる15分前から野菜を食べると良いそうです。レタス、トマト、ピーマン。夏野菜を大盛りで食べましょう。今年はアスパラにもはまっていて、少しゆでたものにツナをのせて食べていますよ。

「VISITOR」
8月からレンタルが始まった海外ドラマです。80年代に一世を風靡したドラマが登場人物や設定を変えてリメイクされました。当時、海外ドラマをビデオで観るという流行を生んだ作品で、後の「ツインピークス」や「ER」のブームを作っていきました。今回の新作も宇宙からの訪問者と人類の戦いですが、映像技術が格段に進歩しているので楽しも方も倍増です。

「V-air」
あなたに降り注いで25年。エフエム山陰は今年25周年を迎えました。これからも素敵な音楽と情報をお伝えしていきますよ。よろしくね。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその31≫
【阪急電車/有川浩/幻冬舎】☆☆☆☆
「図書館戦争シリーズ」を代表作にして、今、最も売れる作品数を誇る作家の一人です。「阪急電車」は最近映画にもなりましたが、宝塚と西宮北口を結ぶ今津線の電車内を舞台に、乗り合わせた数組の乗客の物語です。各駅毎に章が構成されていて、乗客が順番に主役を務めています。乗り合わせただけの人々の人生が少しずつ交差しながら、恋が始まったり、生きる元気をもらったり・・・、リセットしたり、人数分のドラマが展開されていきます。ハッピーエンドなので、読後感も爽やか。一つの章も短いので、ちょっとした時間に読めるのもいいですよ。

夏の光

結構早く来ましたね。夏。
浜辺は海水浴客で大賑わいです。
弓が浜半島の浜が子供の頃の海遊び場でした。
刺すような日差しと蝉しぐれの中、松の木林を通り抜けると、潮の香りが次第に強くなり、今よりも広い砂浜にたどり着きます。目の前はキラキラ光る日本海。
水中メガネで潜ると青手蟹が目の前を泳いでいたりもしました。

隠岐の島に出かけたときは、さらに透明度抜群のエメラルドグリーンの海でした。まさに空中で泳いでいるほど海底がはっきりと見えるのです。

入ることさえできなかった関東の湘南海岸とは大違いです。

真っ青な空と海。
太陽から届く光は七色のプリズム。
その中で、青の光だけが屈折を繰り返して目に届きます。だから空は青いのです。

透明度の高い、深い海は青の光だけが底まで届き、反射して目に飛び込んできます。だから海は青いのです。浅い海やプランクトンなどがいっぱいだと、黄色の光が反射するので、青+黄色=緑色に見えます。
きれいな海はエメラルドグリーンになり、深くてきれいな海はマリンブルーになります。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその30≫
【折れた竜骨/米澤穂信/東京創元社】☆☆☆☆
中世ヨーロッパを舞台に、魔術や呪い渦巻く架空の島を舞台に謎解きが始まります。ソロン諸島の領主を父に持つアミーナは放浪の騎士ファルクと出会います。要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に落ちた父。容疑者は8人。沈められた封印の鐘。牢から忽然と消えた不死の青年。果たして犯人にたどり着くことができるのでしょうか。あっと言わせる最後のドンデン返し。今年の日本推理作家協会賞を受賞した作品です。「インシテミル」で脚光を浴びたミステリー界のホープが放つミステリー&ファンタジー。
外国人の名前が覚えづらいのですが、ファンタジーが大好きな人には楽しめる作品ですよ。

ガガがガ

レディ・ガガの来日衣装は全身緑でした。髪までも緑。まるで葉っぱの上にいる蛾の幼虫のような異様な雰囲気。さすが現代の音楽アイコン。存在感抜群です。マドンナやブリトニー・スピアーズが現れたときも周りとは一線を画したオーラがありましたが、今はガガがその役をこなしています。去年の年収は72億円だとか。
KARAや少女時代といったKーPOP勢。そしてAKB48。日本で吹き荒れる女性シンガー達の極端な位置づけを興味深く思っています。
道路工事現場で聞こえてきた騒音「ガガガガ」。
そう、ガガがガ。なんのこっちゃ。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその29≫
【飲めば都/北村薫/新潮社】☆☆☆☆
主人公は出版社勤務OL28歳。仕事を愛し、仲間を大切にする女性です。ただ、お酒が大好き。泥酔してある瞬間を境に記憶が無くなる。そんな彼女の失敗話を織り交ぜながら、遂に伴侶とめぐり逢うまでの物語です。職場スタッフや作家など登場人物のキャラも立っていてにやにやしながら読みました。

ロックンロールは止められない

6月9日は「ロックの日」です。
ROCKの定義は難しいのだけど、エレキギターとドラムがかき鳴らす音楽とか、騒々しいとかで決めるのは違うと思っています。新聞などで有名バンドのメンバーのニュースが取り上げられるとき、ロックバンドの○○などと書かれていると、?を感じることがありますね。本来はロックは権力への抵抗だなどという人もいますが、それも少し違うような。昔好きだったロックバンドの歌詞の日本語訳を読んで、その軟弱な詞に閉口したこともありました。僕も線引きが出来ないのですが、自らを突き上げる衝動を感じたら、それがロックということで。まあビートルズから聴いてみるのもいいかな。
ちなみに最近衝撃を受けた音は、アークティックモンキーズのニューアルバムに入っている「ライブラリー・ピクチャーズ」です。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその28≫
【ジェノサイド/高野和明/角川書店】☆☆☆☆☆
面白い!毎晩本を開くのが待ち遠しかった。amazonのカスタマーレビュー39人中36人が星5つというように、今大反響を呼んでいるエンター小説。今年のミステリー小説では上位にランクされるかも。
東京の薬学部に通う大学院生に突然亡くなった父から新たな薬を創れとの遺言が届きます。一方、アフリカコンゴに派遣されることになったアメリカの兵士にもあるミッションが届けられます。さらにワシントンではホワイトハウスの幹部達が国家存亡のための計画を内密に進めていました。それは突然変異で起きた人類の進化を阻止する戦いだったのです。公安当局から逃げのびながら東京の質素なアパートの一室で苦闘する学生、少数民族を守りながら戦闘が激化するコンゴの密林をさまよう兵士、そして権力渦巻くホワイトハウスの高官が密接に結びつきながら、敵か味方かわからない3者をジェットコースターのようなストーリーが展開していきます。著者は10年前傑作「13階段」を書いた高野和明。彼の最高傑作であるのみならず、近年のミステリー作品の中でも最高に楽しめる超弩級エンターテイメントでした。

初夏凛々

確かに今振り返れば数え切れない♪
この時期になると必ず浮かぶ歌「緑の日々」。オフコースの曲です。
緑が日に日に鮮やかさを増していますね。

大山の稜線が黒い輪郭を帯び、夏の顔に変わってきました。週末は大山寺御幸(みゆき)、そして6月に入ると夏山開きです。

苔むした祠が万物の祈りを積み重ねた空気をたたえる様は、なぜか心に安心を宿らせてくれます。落ち着くんですね。寺社めぐりって面白いんです。

画像は、松江市内の武内神社で先月特別にお披露目されたホーランエンヤです。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその27≫
【神様のカルテ2/夏川草介/小学館】☆☆☆☆☆
信州にある「24時間、365日対応」の病院で織りなされる主人公の内科医と彼を取り巻く医師、患者、家族の物語。以前絶賛したシリーズ1作目よりも2作目は更に感動を与えてくれました。

「日当たりのよい窓際のベッドで大きな酸素マスクをつけて眠っているトヨさんがいる。その横にちょこんと腰かけたまま、のんびりとトヨさんを見つめているのは、言わずと知れた夫のマゴさんである。」(本文)

「人が死ぬということはそれで何かが片付くということではない。新たな何かが始まるということですらない。大切な絆がひとつ、失われるということである。そのぽっかりと空いた空虚は何物によっても埋められない。」(本文)

命の物語だけではなく、仲間とは何かを深く説いてもいます。

「医師の話ではない。人間の話をしているのだ!」(本文)

梅が咲いた早春から花水木の初夏まで、信州の自然の移ろいも見事に語りながら、人間の絆を強烈に印象付けた作品です。

櫻井翔、宮崎あおいでの映画も決定しています。

レッズが帰ってくるかも

かつて王道のロックンロールを聴かせてくれたダイアモンド・ユカイ。最近ではバラエティに出まくって、当時のカリスマ性を懐かしんでいる人も多いでしょう。
そんなユカイが自らいたバンド、レッド・ウォーリーアーズ(レッズ)復活を目論んでいるらしい。これは僕の中では大事件です。レッズ時代には西武球場や日本武道館にも足を運び、名曲の数々を体に受け止めてきました。ジュンスカ、ユニコーン、次はこのバンドの復活を待ち続けていたのです。「ロイヤル・ストレート・フラッシュ・ロックンロール」「バラとワイン」「ルシアンヒルの上で」「サンデー・サンシャイン」「欲望のドア」・・もう一度生で聴きたい!!
頼む!本当に復活してくれ!!

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその26≫
【県庁おもてなし課/有川浩/角川書店】☆☆☆
とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。観光立県を目指すため配属された若手職員の地方活性化にかけた日々。舞台は高知県庁。実際“おもてなし課”は存在するそうですが物語はフィクション。ストレートな恋愛ドラマをベースに、地方活性化をテーマにした斬新な小説でした。
作者はここ数年ヒット作を連発している女性作家。テレビドラマ「フリーター、家を買う」の原作者です。
全編土佐弁で語られる会話もおもしろいし、行政と民間の間でもがく若い主人公達のエネルギーも読ませてくれます。少し甘い恋愛ストーリーが物足りなさを感じますが。

光を求めて

こんな今だからこそ求められていること。
音楽・スポーツをはじめ日本中で様々な復興支援が湧き起こっていますね。
テレビから伝えられる映像は余りにも悲しく、この一か月、子供たちの瞳から入った情報はどれだけ心に影を落としていることでしょうか。
復興への一歩は私達大人が前向きに動き出すこと。
特に西日本に住む私達が消費行動を高めることで日本経済を支え、一日も早い被災地の復興へとつながっていきます。

さあ春の観光シーズンを迎えました。
ぜひ多くの観光スポットに出かけて欲しいと思います。
「観光」という言葉の語源は、古代中国の四書五経の中の「易経」に書かれていて、「国の光を観る」ということに由来します。
春の光を浴びた観光スポット。延いては子供たちの未来を照らす国の光にもなります。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその25≫
【謎解きはディナーのあとで/東川篤哉/小学館】☆☆☆
今年の「本屋大賞」が発表されました。全国の書店員が投票で決める注目の賞レースです。激戦の末、この作品が大賞に輝きました。下馬評通りの受賞です。
2時間ほどで読めちゃうミステリー短編集でした。主人公は国立署の新米警部である宝生麗子。正体は、いくつもの企業を擁する世界的に有名な「宝生グループ」宝生家のお嬢様。その彼女のお抱え運転手兼執事が本当はプロの探偵か野球選手になりたかったという影山。この二人が事件の核心に迫っていきます。
赤川次郎の小説のような謎解きで楽しめます。なんといってもこの小説の楽しさは宝生麗子のセリフ。絶妙の掛け合いと抜群のお笑いセンス。早くもドラマ化決定なんだそうです。ただし、何も残らない一冊でした。以前紹介した今回2位の「ふがいない僕は空を見た」が書店員の心を捉えたことがうれしかった。

牛丼

学生時代よく通った吉野家。山陰にまだ出店していなかった頃は東京に出かける度に懐かしの味を求めていました。「キッチン・キッチン・ファーストキッチン・珈琲園・珈琲野郎・珈琲大使館・・・吉野家もあるでよ!」所属していたアナウンスサークルで叩き込んだ学生街店名完全記憶ゲーム。最後にはやはり吉野家で締めます。
いつかこの味を真似てみたい。そう思いながら実現できなかった牛丼を遂に最近完成させました。
ダシダーという韓国の牛肉コンソメを知り、早速挑戦してみたら、なんとアノ味が出たのです!!
しばらく病みつきになりそうです。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその24≫
【永遠の0(ゼロ)/百田尚樹/講談社】☆☆☆☆☆
前回紹介した「錨を上げよ」の著者の代表作がこの物語です。日本軍敗色濃厚な中、特攻隊となって散った宮部久蔵。「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?彼の二人の孫が元戦友たちの証言から祖父の生き様を探し求めていきます。玉砕した多くの若者たち。なぜ若い命は戦争で奪われてしまったのか。そこにある多くの過ち。ここまで詳しく特攻隊を描いた作品はあまりなかった気がします。しかしこの本の本当のテーマは「妻との約束」。生きたかったのです。妻を思い、母を思い、子供を思い、あの戦争では多くの若者たちが生きたかったです。平和な現代を生きる僕等に痛烈なメッセージを送る名作でした。