角秀一ダイアリー

サイリュウムを振ってみた

それは、とある日の夜。
僕は平成の太陽を浴びて育ったエネルギーが爆発している空間にポツンと佇んでいたのです。
意味がわからないでしょ?
で、その宴が終わりを告げる頃、隣のお姉さんが一本の光る棒を差し出したのです。
お前も振れとの暗示でした。暗闇の中で示されたので、まさに暗示でした。
生まれて初めてのサイリュウム体験でした。
光のエネルギーはキレイでした。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその46≫
【太陽は動かない/吉田修一著/新潮社】☆☆☆☆
中国企業と中国政府のせめぎ合い。日本企業同士の暗躍。新エネルギー開発の利権争いの渦中に投げ込まれた主人公の産業スパイ。上海のサッカー試合で起きた爆発事件とウィグルの反政府勢力。スパイ同士の誘拐事件。特許技術を握る国会議員。本当に最後まで誰が味方で敵かわからないストーリーがノンストップアクションで展開していきます。去年の「ジェノサイド」を彷彿させる今年上半期最高の超弩級エンターテイメント小説でした。
著者は、一昨年の日本アカデミー賞作品「悪人」の原作者・吉田修一。またもや芥川賞作家の彼が直木賞作品を凌ぐ大衆娯楽小説を書き上げています。