角秀一ダイアリー

薫風

風薫る5月。ん?どんな匂いがするのかクンクンしてみても美味しそうな香りはしてこないなあ。
でも暖かな空気は鼻の奥に緑を感じさせます。緑とは色ではなく、芽吹く・鮮やかという意味もあります。緑の黒髪もそこから表現されていますね。

大型連休の狭間。5月は心地よい薫風の中で始まりました。ここ数年で山陰の道路は格段に整備されました。車で遠出をするには便利になったものです。ただお出かけ前の車の点検もしっかりと。思わぬタイヤの破裂やエンジントラブルで折角の休日が台無しにならないように。自分の車は大丈夫だと過信しないでくださいね。

≪角秀一の読まずに死ねるかのコーナーその43≫
【晴天の迷いクジラ /窪美澄著/新潮社】☆☆☆☆
去年の「本の雑誌」1位、本屋大賞2位の「ふがいない僕は空を見た」の著者が発表した2作品目です。
主人公は3人。会社は倒産しそうで恋人にもふられた青年。子供を捨て、経営する会社も倒産しそうな女社長。親の干渉に苦しむ引きこもりのリスカ少女。壊れかけた三人が転がるように行き着いた海辺の村で、自己再生を歩んでいきます。
著者のテーマは今回も「生」。今作も出だしは重く、徐々に暖かな光に包まれていく読後感のいい小説でした。「嫌われ松子の一生」「八日目の蝉」「最悪」などを読まれた方には心に突き刺さるはずです。